トリスタン [ Tristan ]

歌劇「トリスタンとイゾルデ」等で有名な人。さわやかポエマー。でも不幸。
ちなみに、マロリー版では英語読みの「トリストラム」になっている。
リオネル(レオノイス・ライオネスとも)王メリアダスの息子。母はコーンウォール王マークの妹イザベラ。

とにかく不憫な生い立ちの人。父であるメリアダスは彼に恋した妖精に魔術によってかどわかされ、残されたイザベラは夫を探すため旅に出た。しかし、途中で病に倒れ、あとに男の赤ん坊を残して亡くなった。そして、赤ん坊は「悲しみの子」トリスタンと呼ばれるようになったのである。

このトリスタンの名前の由来については諸説あり、あるパターンは身重のイザベラを残してメリアダスが戦死し、イザベラは衝撃のあまり子供を産み落とすと、「父の顔を知ることもなく、また私がその成長を見守ることもできない。あなたには「悲しみの子」という名を与えましょう」と言い残して息を引き取る・・・と、いうもの。

また、悪辣な執事の裏切りによって一家は城を追われ、途中でついに倒れた王を追って王妃も死亡、残された子供は召使によってトリスタンと名付けられる、等あるが、お母さんが死んでしまうってのは共通。

それはともかくトリスタン。忠実な召使グヴァネイルによって護られ、妖精の魔術を破って家に帰った王に渡される。ところが意地悪な継母の出現により生命の危機が!

計画を見破ったグヴァネイルの手により、トリスタンはフランス王の宮廷に逃れ、そこで騎士としての養育を受ける。

見目麗しく凛々しく育ったトリスに、フランス王女が恋をしたことがまた悲劇の始まり。
お約束っちゅーかなんちゅーか。なびかないトリスに腹を立てた王女は策を弄してトリスを国外追放にしてしまう。後になってそれを後悔した王女は思い出のよすがとして、トリスに愛犬を送り、絶望の内に亡くなる。おいおい・・・。

そうして、リオネスの王メリアダスは故人となり、現在はあのおっかない継母が王位に付いているのだった。そこへ王子を連れていくのは危ないやなー、と考えたグヴァネイルは彼を伯父であるマーク王の元へ連れていく。

さて、こっからが超有名なお話し。

伯父の妃として迎えにいったアイルランドの姫、イゾルデと一緒に、惚れ薬を誤って飲んでしまうトリスタン。
二人の恋はバーニング、不倫街道を突っ走ります。幾多の障害が二人を引き裂こうとしますがめげません。そこまで好きなら駆け落ちでもしろよぅ、と思うがまあそれはそれ。
そして二人の道ならぬ恋は破滅へと突き進んでいくワケですが・・・。
なんかもう、やってろよ、勝手によ、ってなカンジです。

さて、トリスタンは騎士物語の中では狩猟の最高権威として描かれます。あんまり話には関係ないんだけどね。

悲しい事があると竪琴を手に歌い、嬉しい事があるとやっぱり歌うトリスタン。まことにオペラ向きのキャラクターでございますね。「音楽と将棋が得意」だったとか言われてますが・・・。奈落のチェスマスター・・・。

Posted by 鰯野三和土