モルガン・ル・フェイ [ Morgan Le Fay ]
妖姫モルガン。アーサーの異父姉。ティンタジェル公ゴロイスと夫人イグレーヌの三女。
母イグレーヌがユーゼルと再婚した後、修道院に預けられた彼女はそこで魔術を学び、以降、屈指の妖術使いとして大活躍、もといやりたい放題をする。
北ガリスの王妃と結託して昼寝中のランスロットをさらい、愛人になれと迫ってみたり(断わられたけど)、のちにランスロットの子を生む事になるエレイン姫の美しさを妬み、熱湯を満たした釜の中から出られなくしたり、他にもいろいろと・・・。
一応、旦那は一国の主、つまり身分は王妃様なんであるが、そんな事に頓着するようなお方では無い。とにかく奔放にしてイキのいいお姉様なんである。
彼女のエラい所は、何をするんでも他人任せにせず、自分でやるところ。騎士に守ってもらうのが当然だとか思ってるどっかのワガママ王妃とは格が違うのだ。その分、風あたりもキツいけど・・・。
一説では、彼女は母権の象徴であり、アーサーは父権の象徴だとか、モルガンはドルイドの、アーサーはキリスト教の象徴だとか・・・。アーサーの栄光の影に隠れるモルガン、という構図が、象徴たる父権なりキリスト教なりの勝利を表わすのか?
しかし、結局はアーサーはモルガン(達)の手によってアヴァロン島へと運ばれる。母ぎみに優るものなし?
ところで、彼女のモデルはモドロン(もしくはマトローナ)という名の古代ケルトの女神だった、というのが現在、ほぼ確実と言われている説である。名前の変化はブルターニュの海の妖精、「マリ・モルガン」と混ぜ合わされたためらしい。
モドロンは神であり、歴史上の人物と結婚したとされている。
物語作者たちはモリガンが元々は神格を備えていた事を踏まえ、古代の物語やアーサー王の時代のずっと前の話にも登場させていたりする。
モルガンがアイルランドの女神モリガンに由来する、という説は現在では立証困難である。(以上、ローラン・コグラン「アーサー王伝説事典」より適当に抜粋。)
どちらにせよ、きわめて神秘的なお姉様であることにゃ変わりはない。(ミステリアスというにはちと破天荒か?)
個人的な事で恐縮だが、筆者はこのお姉さんがむちゃくちゃ好きである。傍若無人ぶりがカッコ良すぎ!